高精度な地形情報
一般的な「地理院地図(標準地図)」の等高線(2.5万分の1地形図ベース)は、5m〜10m単位の粗いものであり、
樹木に覆われた山間部の小さな段差や地すべりの末端部といった微地形を判読するには不十分です。
そのため、現在の地質調査(特に地すべり・断層・土石流)の事前準備では、地理院地図をそのまま使うのではなく、
以下の「航空レーザー測量(LPデータ)」を用いた高精度な地形情報の活用が不可欠となっています。
- 航空レーザー測量成果の活用(微地形判読の核心)
従来の空中写真判読では樹木が障害となって地面が見えませんが、航空レーザーは樹間をすり抜けて地面の標高を直接計測します。
- ・1mメッシュDEM: 国土地理院も提供範囲を大幅に拡大しており、1m単位の標高データ(数値標高モデル)を使用することで
- 数10cm〜1m程度の微細な段差や亀裂を可視化できます。
- ・微地形表現図(赤色立体地図など): LPデータから作成された「赤色立体地図」や「CS立体図」は、
- 傾斜の急緩や凹凸を強調して表示するため、標準地図では見えない地すべりの滑落崖や断層リニアメント、土石流の流路を明瞭に捉えられます。
- 調査種別ごとの高精度データの重要性
- ・地すべり・断層調査: 断層や地すべりによる「変位量(段差)」は、数m以下のことも多いため、標準地図では完全に無視されます。
- 高精度DEMを用いることで、踏査前に「ここに段差があるはずだ」という確信を持って現場に向かうことができます。
- ・土石流調査: 渓床に溜まった不安定土砂の量や、上流の小さな崩壊箇所は1mメッシュ級のデータでないと正確に把握できません。
- 「現地で探す」から「現地で確認する」への転換
事前準備でこれらの高精度な微地形判読を行っておくことで、踏査の役割は以下のように変わります。
- ・効率化: 見当違いな場所を歩き回る時間を削減し、怪しい箇所をピンポイントで確認できます。
- ・安全性: 崩壊の兆候がある不安定な地形を事前に把握し、近づきすぎないよう安全管理に活かせます。
「地理院地図(標準地図)」のみに頼る踏査は現代の調査基準では不十分とされており、
国土地理院が提供する高精度標高データ(1m/5mメッシュ)や民間・自治体のLPデータを活用した微地形表現図による事前判読が、
精度の高い地質調査を行うための必須条件となっています。


